掲載日:2024.08.28

高血圧の対策は血行から

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高血圧を予防するためには「血行促進」が効果的な方法の1つです。この記事では、高血圧のリスクを減らすにはどうすればいいか?について、血行促進をキーワードにして探っていきます。

高血圧に不安を感じる方や予防に興味のある方にとって、手助けとなる情報を提供します。

高血圧のことを知ろう

高血圧が続くと、様々な病気を引き起こす可能性が高まります。まずは、高血圧のことをよく知ることで、その予防方法の手掛かりにしましょう。

高血圧とは

高血圧は血圧が一定の基準を超える状態を指します。医療機関では「上の血圧が140mmHg以上」、または「下の血圧が90mmHg以上」だと、高血圧と診断されます。上の血圧と下の血圧の両方ではなく、どちらか一方が基準値を超えていれば、それは高血圧とみなされるということです。

上の血圧・下の血圧
血液は、心臓の収縮と拡張によって体全体に送り出されます。この過程で血液が血管の壁にかける圧力が血圧です。心臓が力強く収縮することで血液を動脈に流すときに、血圧は高まります。これが上の血圧であり、収縮期血圧と呼ばれるものです。
反対に、心臓が拡張して動脈にかかる圧力が低くなるのが下の血圧です。拡張期血圧とも呼ばれます。

高血圧の別名はサイレントキラー

高血圧は自覚症状がほとんどない状態で進行します。ただし、症状がないからといって放置すると、さまざまな病気を引き起こし、最終的には脳卒中、心筋梗塞、腎不全などの重篤な状態に至る可能性があります。このことから、高血圧には「サイレントキラー」という別名が付いています。

高血圧の種類

高血圧は、原因が特定しづらい本態性高血圧と原因が他の疾患や薬剤の副作用に起因する二次性高血圧の2種に分類されます。それぞれの特長は以下のとおりです。

本態性高血圧

日本人の高血圧患者のうち、約85~90%が原因を特定しづらい本態性高血圧だといわれています。本態性高血圧は、もともとの体質や、塩分のとり過ぎ、肥満、過度の飲酒、運動不足、ストレス、喫煙などが発症の原因と考えられます。

二次性高血圧

原因が明確で、なおかつ排除することで血圧が下がる可能性があるものが二次性高血圧です。
若年者の高血圧患者のうち、50%以上が二次性高血圧であるといわれています。 二次性高血圧には、腎臓由来のもの、副腎からのホルモン分泌、甲状腺機能亢進、大動脈弁の狭窄、睡眠時無呼吸症候群、薬剤の副作用など、さまざまな原因が考えられます。


注)この記事では分かりやすくするために、「本態性高血圧」を「高血圧」と呼ばせていただきます。

高血圧の主な原因

前述したように、高血圧(本態性高血圧)は原因が特定しづらいものの、そのほとんどが生活習慣に起因していると考えられています。塩分のとり過ぎ、過度の飲酒、喫煙、運動不足などが主な例として挙げられます。

塩分のとり過ぎ

塩分のとり過ぎは、腎臓が水分の排出を抑制しようとする作用を引き起こします。これは、体内の塩分濃度を維持するために必要なものです。しかし、この作用によって体内の血液量は増加します。結果として、心臓の一拍ごとに送り出される血液の量も増えるため、血圧が上昇します。

過度の飲酒

過度な飲酒を続けることで、血圧が上がりやすくなる可能性があります。 具体的なメカニズムは完全には解明されていませんが、飲酒が交感神経の刺激や電解質の異常などに影響を与えるとされています。

ストレス

ストレスは交感神経を活発化させることで血管を収縮させ、それによって血圧が上昇します。
一時的なストレスによる血圧上昇は時間の経過と共に正常な状態に戻ります。しかし、ストレス過多な状態が続くと、血圧も高い状態が続くことになります。

加齢

血管の柔軟性は年齢を重ねることで失われていきます。柔軟性を失った血管は硬くなり、血圧が上がりやすくなります。
一般的な例として、閉経前の女性は女性ホルモンの影響で高血圧が発症しにくい傾向にありますが、閉経後はホルモンバランスの変化により交感神経が優位になりやすく、結果として血圧が上がりやすくなります。

肥満

肥満は高血圧になりやすいといわれています。主な理由は、内臓脂肪の蓄積や食べ過ぎによる塩分のとり過ぎ、そして過剰なインスリン分泌の傾向 があるためです。これらの要因によって体内の血液量が増加し、それが高血圧につながります。

運動不足

適度な運動は、体内の余分な塩分の排出を促進します。反対に、運動不足になると身体が余分な塩分を蓄積しやすくなります。運動不足は肥満の要因となり、これが間接的に血圧上昇の引き金となる可能性があります。

喫煙

喫煙は交感神経を活性化させます。喫煙後の約15分間は血圧の高い状態が続くそうです。また、喫煙は動脈硬化になる可能性も高めます。動脈硬化は、さまざまな病気の要因となるので注意が必要です。

遺伝

遺伝的に高血圧になりやすい体質の方もいます。また、同居する家族は生活習慣が似ることがあるため、家族に高血圧の方がいる場合は注意が必要です。

高血圧が与える健康への悪影響

高血圧をそのままにしておくと、動脈硬化が進行して、脳卒中や心疾患、または慢性腎臓病などの病気になるリスクが高まります。以下は、高血圧が健康に与える悪影響の一例です。

心疾患(心筋梗塞、狭心症など)

高血圧によって心疾患のリスクが高まることもあります。特に男性の場合、収縮期血圧が10mmHg上昇すると、心筋梗塞や狭心症の発生リスクが約15%増えるといわれています。

脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)

高血圧が最も影響を与える疾患の一つが脳卒中です。収縮期血圧(最高血圧)が10mmHg上昇すると、男性では脳卒中の発生リスクが約20%、女性では約15%増えるといわれています。

慢性腎臓病

高い血圧は腎臓に負担をかけます。腎臓への負担が増すと、スムーズに塩分の排泄ができなくなり、血圧がますます上昇するという悪循環に陥ります。
慢性腎臓病が進行すると、脳卒中や心筋梗塞による死亡率も高くなります。

専門医の診断が重要
高血圧が他の病気に関連している場合は、詳しい検査と専門医の指導を受けてください。生活習慣の改善や必要に応じた薬物療法、そして定期的な血圧モニタリングなどを取り入れることで、病気のリスクを減少させることが期待できます。

高血圧と動脈硬化の悪循環

 

 

ここで、高血圧と動脈硬化の相互作用に焦点を当てて見てみましょう。高血圧と動脈硬化は、互いに影響しあうことで悪循環を生むことがあります。動脈硬化は血管の健康を損ない、高血圧が続くとこの状態が悪化し、その結果、重大な病気になるリスクが高まります。

動脈硬化とは

血管の内側にコレステロールなど脂質物質が付着して蓄積すると、血管壁が厚く硬くなります。これが動脈硬化です。動脈硬化になると、血管の柔軟性が低下して血行が妨げられます。この状態が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重い病気につながることも考えられます。

高血圧と動脈硬化の悪循環が進むとどうなるか

血管は血流の量に応じて収縮や拡張を繰り返し、血行の状態を正常に保っています。しかし、動脈硬化になると、血管の柔軟性が損なわれて硬くなります。これが高血圧の発症を招くのです。そして、血管が高い圧力にさらされることで、動脈硬化がさらに進行するという悪循環が生まれます。

この状態がさらに進行すると、血管内での狭窄や閉塞が引き起こされます。部位によっては脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などの危険性があります。また、大動脈瘤や脳動脈瘤の破裂も懸念されます。


血行促進で高血圧・動脈硬化を予防

全身の臓器や組織に酸素や栄養素を適切に供給して健康状態を保つためには、良好な血行が不可欠です。そのための有効な手段の1つが血行促進です。ここでは、血行促進が高血圧に与える効果について解説します。

血行が持つ高血圧への影響

血行の不調は高血圧の原因

血行の不調は血管の収縮や拡張に悪影響を及ぼします。全身に血液を送り出すためには、より高い圧力が必要であり、これが高血圧の発端となります。血行がスムーズではない場合、心臓はより強く血液をポンプする必要があり、これが高血圧を引き起こす要因となります。

血圧が高くなると動脈硬化が進行する

高血圧とは、血管が絶えず強い負荷にさらされている状態です。これが血管の損傷を引き起こしています。本来、血管は強い圧力に対応するためにゴムのような弾力性を備えていますが、損傷によって血管壁は厚く、硬くなってしまいます。これが、結果として動脈硬化を引き起こすことになるのです。

さらに心臓病や脳卒中のリスクが増加する

高血圧は心臓病や脳卒中などの重篤な病気になるリスクを増加させます。 脳内で動脈硬化が進行すると、脳梗塞の危険性が増します。脳梗塞の発症は、身体への障害だけではなく生命の危険も伴います。

心臓の冠動脈で動脈硬化が進むと、狭心症や心筋梗塞につながる可能性があります。冠動脈の血液供給が悪化することで狭心症の症状が現れ、また、プラークが破れて血栓になり、冠動脈の血流が阻害されることで心筋梗塞が発生します。

血行促進のメリット

血管の拡張

血管が拡張されて血液の通り道が広くなると、血管や周囲の筋肉が柔軟性を取り戻します。これによって、身体中の組織や臓器には十分な酸素や栄養が供給されます。各部位が必要な栄養を得ることで、身体の健康状態が保たれます。

サラサラ血液で動脈硬化を予防

血行促進によって血液の粘度が低下すると、血液がスムーズに流れるようになります。これが一般的に「血液がサラサラ」と呼ばれる状態です。サラサラな血液は血栓や血管内の詰まりを予防します。

心臓の負担を軽減

血液がサラサラであることは、心臓が血液を送り出す際の負担が軽くなるということです。粘り気の少ない血液は、血管を通る際の摩擦や抵抗が少なく、心臓は負担をかけずに血液を全身に送り出すことができます。

血行促進の手段

飽和脂肪酸や塩分の摂取を抑えた食生活

血管を健康に保つためには、バランスの取れた食事が重要です。特に、血行促進には飽和脂肪酸や塩分の摂取を抑えることが効果的です。


飽和脂肪酸は主に動物性の脂肪に含まれており、過剰に摂取すると動脈硬化や高血圧の原因となります。代わりに、不飽和脂肪酸が多く含まれる植物性油や魚などを選び、飽和脂肪酸の摂取を制限しましょう。


過剰な塩分は高血圧の原因となります。塩分濃度が一時的に上昇すると、体内に貯留される水分量が増加します。これによって心臓への送血量が増え、血管にかかる圧力が高くなるのです。 ハーブやスパイスを使った調味料で味を引き立てるなどの工夫をして、塩分の摂取量を減らすことが重要です。

運動習慣の確立

血行促進において運動は非常に重要な役割を持っています。例えば、運動によって筋肉量が増加すると、血行が良くなります。

POINT!
血行促進のためには、必ずしも激しい運動が必要というわけではありません。心拍数がやや上がる程度の運動を継続するだけでも効果はあります。血行促進のためにも、適度な運動を継続する習慣を身につけましょう。

ストレス管理

ストレスは血圧上昇の原因となります。リラックス技法や深呼吸を取り入れ、心身のリラックスを促すことも血行促進には効果があります。さらに、十分な睡眠もストレス解消には不可欠です。慢性的なストレスに悩んでいる場合は、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

十分な水分摂取

水分の摂取は血行促進に欠かせません。血液の80%は水分で構成されており、水分が不足すると血液がドロドロになります。反対に十分な水分量があれば、血行はよくなります。
また、血液には脂質や糖、塩分を排出する重要な役割もあります。水を摂ることで、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防にもなります。

血行促進の重要性

ここまで紹介した方法を組み合わせることで、血管の健康を維持し、血行の促進が期待できます。血行がスムーズでないと、様々な健康問題が引き起こる可能性があります。例えば、高血圧や動脈硬化などです。血行促進は全身の健康を保つために極めて重要な要素なのです。


まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事では、高血圧に対する効果的な対策として、血行の重要性に焦点を当てました。血圧の基本を理解し、早期の高血圧管理と予防をすることで、さまざまな病気になるリスクを軽減します。
自身の健康を守るためには、定期的な健康診断や医師の指導を受けることも不可欠です。


※この記事は、健康に関する一般的な情報を提供するものであり、医師等の医療従事者の行う医学的なアドバイスやそれに代替する情報を提供するものではありません。この記事を参考にされる際は、ご自身の健康状態に留意のうえ個人の責任において行ってください。また、健康上の懸念がある場合には、医師にご相談ください。


【参考資料】
●NHK「高血圧の症状」
●株式会社バリューHR「生活習慣病オンライン」
●オムロン ヘルスケア株式会社「もっと知っておきたい血圧のこと」
●オムロン ヘルスケア株式会社「高血圧とは、どんな病気?」
●株式会社CureApp「高血圧情報サイト」
●おきた内科クリニック「動脈硬化・高血圧」
●公平病院「検査科からのおたより」
●朝日生命ネットほけん「動脈硬化とは?原因となる心臓や脳の病気や予防方法について解説」
●新関西衣料サービス株式会社「水をたくさん飲むメリット」

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