血流が導く身体と心の健康

血流と健康にはとても深い関係があります。血流の改善は、身体全体の調和を保ち、多くの病気や健康問題のリスクを低減するのに役立ちます。
この記事では、血流と健康の関係を解説し、血流を良くする方法をご紹介します。

血流が担う5つの役割と機能

成人の血液量は体重の13分の1ほどといわれています。この血液が、酸素・栄養素・ホルモン、さらには二酸化炭素や老廃物を細胞に運び、回収するなど、身体のあらゆる部分と密接に関連しています。また、血流で運ばれるホルモンには感情調節に関係するものあるので、心の健康にも大きな影響を与えるといわれています。
身体と心を健康に保つためには、血流が隅々までスムーズに流れることが不可欠です。

1.水分のバランスを維持

血液の55%は血漿（けっしょう）から成り立っており、血漿の91％が水分でできているといわれています。この水分のバランスを保つ役割は、血流の中でも重要な機能の一つです。水分のバランスが崩れたときに現れる症状の代表例が、むくみや脱水症状です。
血流は水分バランスを適切に維持することで、これらの症状を予防する役割を果たしています。

2. 酸素・栄養素・ホルモンの運搬

血流は、酸素・栄養素・ホルモンなどの重要な物質を全身の細胞に運びます。酸素は細胞のエネルギー産生に必要であり、栄養素は細胞の成長や修復に不可欠です。
また、ホルモンは感情や身体の機能に影響を与えます。血流がこれらの物質をスムーズに運ぶことで、細胞は正常に機能し、私たちの身体は健康に保たれます。

3. 二酸化炭素・老廃物の回収

体内で代謝が進行すると、二酸化炭素や老廃物が生成されます。これらの物質は、血流を通じて肝臓、腎臓、肺などの臓器に運ばれ、体外に排出されます。血流が正常にはたらくことで、二酸化炭素や老廃物が体内に蓄積せず、健康が維持されます。

4.免疫のサポート

免疫細胞には私たちの身体を病気から守る重要な役割があります。免疫細胞は血流を通じて体内を巡り、異常な細胞や感染症に対する防御を行います。
血流がスムーズに流れることで、免疫細胞は効果的に病原体を攻撃し、私たちの身体を病気から守ってくれるのです。

5.体温の維持

血流は体温を調節する重要な要素です。寒い場合には皮膚の毛細血管を収縮させることで熱を逃がさないようにして体温を維持します。逆に、暖かい場合は毛細血管を拡張させることで体温を下げます。
体温を適切に調節することで、私たちの身体は正常に機能します。血流はこの体温調節を支える役割を果たしています。

血流が悪化することで顕在化する症状

むくみ

血流が円滑でない場合、血管内の圧力が上昇して、血漿中の水分が血管外部ににじみ出すことがあります。これにより、組織や皮下組織に余分な水分が蓄積し、むくみが生じます。むくみは不快感を伴い、特に下肢に影響を及ぼす可能性があります。

体重増加

血流は体内の各組織や細胞に酸素や栄養素を供給し、同時に代謝産物や老廃物を回収して排除します。血流が悪化すると、これらの代謝活動が低下し、食物からのエネルギーを効率的に利用できなくなります。その結果、余分なエネルギーは体内で脂肪として蓄積されやすくなり、体重が増加する可能性が高まります。

だるさ

老廃物の蓄積は体内のエネルギー効率を低下させ、だるさの原因となります。代謝によって生成される老廃物は、適切に体外に排出されない場合、体内に蓄積されます。
これにより、細胞の正常な機能が妨げられ、エネルギー生成プロセスが効率的に進行しなくなります。結果として、だるさや疲労感が生じ、日常生活への活力が低下する可能性があります。

感染症リスク

免疫力が低下すると、感染症に対するリスクが高まります。免疫細胞は感染症の原因となる細菌やウイルスを攻撃し、排除するために重要な役割を果たします。しかし、血流が悪化すると、免疫細胞の移動や機能が低下し、感染症に対する防御が弱まる可能性があります。
血流は免疫系の正常な機能をサポートし、感染症からの防御を強化しているのです。

冷え

血流が悪化すると、体内の熱が適切に分配されず、特に手足が冷たくなることがあります。血流は熱を体内の各部位に供給し、体温を維持する役割を果たします。
しかし、血液の循環が低下すると、特に末梢部位への血液供給が不足し、冷たさを感じることがあります。

血流と脳との関係

脳と血流の関係は、私たちの身体において特に重要です。脳は全身の血液の約15%を集中して取り込み、その血液は酸素と栄養素を脳に供給します。実際、取り込んだ酸素の約25%が脳で消費されているといわれています。

感情に影響する血流の重要性

脳内で感情を調節するためには、様々なホルモンが関与しています。これらのホルモンは気分・ストレス・幸福感などを制御し、私たちの心の状態に大きな影響を及ぼします。

しかし、血流が悪化すると、必要な酸素や栄養素が脳に充分に供給されなくなります。
これにより、脳内でのホルモン生成や正常な神経活動が妨げられ、感情の不安定さや精神的な不調が生じる可能性が高まります。

このように、脳と血流の関係は、私たちの心の健康に大きな影響を与えます。血流が改善され、脳に適切な酸素と栄養素が供給されることで、感情の安定やストレスの軽減に寄与する可能性があります。

血流改善の方法

健康的な血流は、各臓器や組織が適切な栄養素を受け取り、二酸化炭素や老廃物を効率的に排除することができます。また、免疫系の細胞も血流を介して異常な細胞や病原体を検出し、攻撃するのに必要です。
血流によってさまざまな疾患や健康問題のリスクが低減し、身体の健康は保たれているのです。ここでは、そんな血流を改善する代表例を解説します。

運動を取り入れる

運動は血流改善に大きな影響を与えます。有酸素運動（例: ウォーキング、ジョギング、サイクリング）は心臓のポンプ力を向上させ、血液の循環を促進します。これにより、筋肉や臓器に酸素や栄養素が供給され、体内の老廃物が排除されます。

例えば、ウォーキングは手軽に始められる有酸素運動の一例です。週に150分以上の有酸素運動を取り入れると、血流改善に役立ちます。

適切な食生活

食事は血流に直接影響を与える要因の一つです。
健康的な食事は、抗酸化物質、健康的な脂肪・繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養素を提供し、血管の健康を維持します。抗酸化物質は血管の内側の損傷を防ぎ、コレステロールの蓄積を減少させ、血液をサラサラに保ちます。

POINT!
緑黄色野菜や魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸は、血管の健康を促進する食品の一例です。オメガ3脂肪酸以外にも、オリーブオイル・アボカド・鶏胸肉・野菜・果物・ナッツなどが血流改善に役立つ食品といわれています。

ストレス管理

ストレスは身体の状態に影響を与えて、血流を悪化させる可能性があります。特に、長期間のストレスは、血圧の上昇や炎症の増加などを引き起こすことがあるので注意が必要です。

リラクゼーション効果のあるもの（例えば、瞑想・深呼吸・ヨガなど）は、これらのストレス反応を軽減し、血流を改善するのに役立ちます。自分なりの、日常生活におけるストレスを軽減する方法を探してみてください。

禁煙

喫煙によって血管が収縮して、血流が制限されることがあります。これは、酸素と栄養素の適切な供給を妨げ、血流障害に関連した健康リスクを高める可能性があります。また、喫煙による血流の悪化は、心臓病や高血圧などの疾患のリスクを増加させる一因となります。
もし、あなたが喫煙者であり、血流の改善を望まれるなら、禁煙を検討してみてください。